「Middle Tempo Magic」〜vol.2〜。後半6曲完全レビュー。
vol.1は
ココでチェック。
07 水色の調べ突如胸を指す可愛げな鉄琴の音。一気に水色の世界へ引きづりこまれる。安藤裕子の1stシングル「水色の調べ」。作曲は宮川弾。奔放奇抜でキャッチーなメロディーライン。相手が安藤裕子だからこそ書けた曲だろう。そして作詞はもちろん安藤裕子。歌詞の載せ方が斬新過ぎる。こればっかりは言葉じゃどうにも説明できないが、他人の書いた曲でここまで自由に遊びまわるには物凄い“言葉遊び能力”が必要だろう。この曲ではリズム隊も大活躍だ。スカパラコンビ。ベース=川上つよし。ドラム=茂木欣一。曲を引っ張っていく。この曲の中毒性はこのアルバムで1、2を争う。自分の場合初対面の日にいきなり30回ほど聴いてしまった。どうにも抜け出せなくなる。そんな曲。
08 わすれものの森陽気な曲のあとはしっとりと。ピアノと少しの管楽器。そして素敵なコーラスがあれば、あとはもう何も要らない。過去の思い出と対峙する安藤裕子。「時が過ぎ許されて 私に/居場所があるのなら/あなたに/似た 花が/咲けばいい」。忘れたいけど忘れられないこと。トラウマ。葛藤。色々なことを抱えて人は生きている。そして、安藤裕子は最後にこう唄います。「君と進みたいよ/でも 生きていたいの/誰かに 伝えていたいの」さぁ、前を向いたら次の曲。
09 眠りの家温かなアコギが心に染み入る。山本貴志のアコギが曲全体を通して哀愁の色を漂わせている。アコギのほかにもマリンバ・ヴィオラ・ヴァイオリン・クラリネットなど様々な楽器が用いられている。だけどごちゃちゃしていない。シンプルに心に寄り添ってくる。不思議な曲だ。ひたすら繰り返される「手に触れてみて」というフレーズ。五感の中でも一番確かな“触感”をひたすらに求める安藤裕子。「逢えたら手に触れてみて 君が君なら僕には分かる」。“君が君なら”
なんてなかなか書けない。裏を返せば、君が君じゃないときがあるってことだ。だけどそんな“君”だって触れ合えばすぐに見破ることができる。確かな絆故。
10 ドラマチックレコード怒涛のラスト3曲。この3曲で、きっとあなたは「Middle Tempo Magic」にかかってしまう。いわばこのアルバムの決め手だ。さて、10曲目「ドラマチックレコード」。作曲は
宮川弾だ。実はこの宮川弾、日本が世界に誇るクリエーター・田中知之のソロプロジェクト「
Fantastic Plastic Machine」のアルバムにも参加していたりするやり手。紡ぎだすメロディーの独創性と中毒性とポップ性から、その才能の深さが感じられる。この曲は、冒頭の5秒で泣ける。シングル化するなら、キャッチコピーは間違いなくコレだ。「
最初の5秒で泣ける曲」。“ジャーン・・・”ピアノの和音。そして少し遅れて安藤裕子の声。「やる気をなくした/スーパースター!」。はい、もう涙腺ゆるゆる。山本隆二のアレンジも冴え渡る。シンプルだけど飽きさせない。涙腺を攻めまくる。ここまで弦楽器を巧みに使うアレンジャーはそういない。俺は、J-POPに於いて安易に使われる弦楽器にはかなり拒絶反応をしめすけど、この曲は弦無しではありえない、とさえ思う。ところが3分21秒。その弦楽器やドラムやベース、すべての楽器が止まる。一瞬の間をおいて、ピアノソロ。泣ける。そして雪崩込むようにラストサビへ・・・。コレだ。コレだからこの曲は涙無しじゃ聞けない。安藤裕子の曲で1番好きって言い切っちゃおうかな、どうしよう。だけど、「
TEXAS」も好きだからなぁ・・・。そうそう。この曲はPVも安藤裕子が担当している。で、これが堪らなく良い。どんだけ才能があるんだか。ということでYouTube視聴リンク(別ウィンドウで開きます)。《

視聴リンク→「
ドラマチックレコード」》
11 隣人に光が差すとき初めて弱みを書いた曲だそうだ。安藤裕子をデビューへと導いた奇跡と言える一曲「隣人に光が差すとき」。「あなたの斜め後ろの角を辿り/友達としゃべる 見ないように…。」こんなフレーズで始まるこの曲。ずっとラブソングだと思っていたけど、実は“あなた”とは同期のアーティストだということを最近知った。そのアーティストの方が先にデビューし、そのステージを見に行ったときの心情を綴ったそうだ。つまり、光とはつまりスポットライト。その“光”に照らされた“隣人”を見ていて感じた劣等感や居心地の悪さが安藤裕子の情熱をかき立てた。そして見事この曲を
堤幸彦氏に見出され、映画の主題歌として抜擢してもらう。それが今の成功につながっているのだ。なんて素敵な話だろう。まぁ、そんなストーリーを知らなくともこの曲は素敵だと思える。「やわすぎた私は 人混みの中埋もれ/光の差すあなたを見てた/輝けるあなたの 斜め後ろを辿り/こぼれる光に手をのばす」。独特の声で切々と歌い上げられるこの曲で心動かされな人なんて絶対いない。そう。絶対。
12 聖者の行進「ツンデレ」ってやつだ。音楽的な。荘厳な冒頭→情熱的なサビ。コレだ。安藤裕子最後の切り札、「聖者の行進」。「塵が積もった 静かに色を付けてよ」と始まるAメロは幻想的で厳か。神聖な香りのするオルガンとドラムが張り詰めた空気を感じさせる。そして開始56秒。その行進にギターが加わり、一気にサビへ。「今 開かれた波に呑まれて燃えていく気持ちは消せない/くすんだ世界に身を焦がされても/手は離さないでいてくれたらそれでもいいの/守るべきは光だけ、と」。。。壮大に開かれた音世界。躍動感。この瞬間、きっと聴く人は魔法にかかる。「Middle Tempo Magic」に。この行進の先頭は、きっとドラムだ。間違いなく、リスナーを安藤裕子の世界へ導いている。そんなドラムを叩くのはカーネーションの矢部浩志。(ベースもカーネションの大田譲だったりする)しっかりとした足取りで進んだ聖者の行進は、やがて矢部のドラムソロで終わりを告げる。
というわけで「新生・音楽日和」の新年一発目の大企画「全曲完全解説レビュー」は以上で終わりだ。
冒頭に書いたとおり“動と静”“熱と冷”“厳と優”というような相反するものが同居しているこのがこのアルバムだ。安藤裕子というとんでもない才能を持ったシンガーが初めて世に放った爆弾。それは核兵器並みの威力で以って人々の心を揺らすことになった。さぁ、まだ揺らされていないそこのあなた!!聴かずに人生終わらせんの、勿体無いっすよぉ!!!!
(by
toumeiningen)
↓「音楽日和」定期購読はコチラ!!(冗談)↓

↑ランキング参加中です!!クリックお願いします!!↑